The LADYBIRDが送る夏のSFファンタジー
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まだ少し春は遠い日の夜だった。
テレビでは、ひどく降り続く雨は時折、雷も混じり、
例年通りとはいかず、雪に変わるという予報が流れていた。
子供のいない一組の夫婦は夕食を取りながら、
なにげなく天気のニュースを眺めていた。
静かな部屋の外に響く雷鳴。
部屋の明かりが消える。
「停電…かしら?」
「そうみたいだね。すぐに復旧すると思うけど、懐中電灯を取ってくるよ。」
そんな会話の中、再び窓の外にひときわ激しい一筋の光。
雷鳴遠く、寝室から何かの鳴き声が聞こえた。
「ねえ、鳴き声が聞こえない?」
「うん。猫にしてはちょっと違うし…うちの中にいるみたいだな。」
二人で寝室に向うと、そこにはまだ生後間もない赤子が泣き叫んでいた。
その声はけたたましく鳴り響く雷鳴をかき消すほど激しく、
聖歌のように美しく、夫婦にとって希望の鐘の音のようでもあった。
「この子…なぜここにいるのかしら?腕に四葉のクローバーがついているわ。」
「神様からの…贈り物なのかも知れないな。」
「この子を烈光(ひかり)と名付けよう。激しい雷と共に
僕たちの前に現れた、希望の光だ。」
さきほどまでの雨はあがり、
花びら雪が音も無く空から降りはじめていた。
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